先日、大阪梅田阪急内の「男の着物、銀座もとじ店」で江戸小紋に関する講演会がありました。

単に着物を売るだけでなく、毎回素敵な話と伝統工芸の保存と普及に
努力しておられる 銀座もとじ店です。
店長の司会で始まり、小紋を染める型紙の彫り師である佐々木正明氏の説明会でもありました。
もとじ江戸小紋 001和紙を数枚重ねて貼り合わせて、とても細かな手作業で彫り込んで、反物を染めていくのです。伊勢の型紙とか、鈴鹿彫りとも言われています。

三重県の鈴鹿市で始まった手作業の染めなのに、なぜ江戸小紋と呼ばれるようになったかも説明を受けました。

江戸小紋型紙江戸の武士たちが好んで盛装の裃に、この小紋を愛用初めたので、江戸小紋と呼ばれるようになったようです。需要から女性物、反物も紬や縮緬などに広く使われるようになりました。小紋の源流というなら、古くは奈良の正倉院の宝物の中にも見られるそうですから驚きですね。

それにしても右手にある爪楊枝と比べても細かな彫りを手作業で行うのです。仕上げまで日数もかなり掛かり、彫り師も昔に比べ少なくなり、着物愛用者も少ないので、必然と値段も上がりますが、その行程を見てもうなずける値段です。でもおいそれと手が出ない私の懐でもありますが・・^^: 

もとじ江戸小紋 008佐々木氏の説明を受けながら話を聞きました。

1ミリ単位の立て縞も手作業で掘ることが出来ると言われ実演も見せて頂きました。その型紙を彫るための小刀も、ご本人の手作りだそうです。

もとじ江戸小紋 021日本には伝統工芸が沢山在りますね。 それらが伝承されて、日本の繊細な技術が生まれてきました。この彫りの伝承にも力を入れておられるとも話しておられました。

一人の人材を育てるためには長い時間がかかります。
でも今の日本は目先の結果を追求するあまり、派遣社員
パート社員の採用で、日本の技術知恵を受け継がせる事がおろそかに成ってきてる気がします。海外の安い人件費と販売力を付けるために
日本の知識財産<その企業の知識財産でもあるが>を気軽に手放す企業も多いですね。 販売促進のために、後進国、先進国と手を組む代償に知識を手放す企業が多い気がします。
江戸小紋 014
液晶技術、LED発光技術 多数の日本企業が培ってきた知識財産を一時的な儲けのために手放してきた気がします。
結果。韓国や中国にコピーされ結果的には、日本の経済が危ぶまれるようになってきた気もします。

今から自動車用の燃料電池、太陽光電池の革新的な技術知識財産が世界から狙われていますね。資源のない国の日本ですから、この知識財産を大切に守り育つ国になって欲しいですね。
海外では知識や仕事内容に価値がありますので、パート社員でも正社員と同じ賃金が払われます。 日本は年功に対して賃金がつきます。知識技術には賃金が中々払われませんね。

江戸小紋も素晴らしい繊細な彫りと染めがあって生まれてきます。
失われたくない日本の伝統工芸の技術ですね。ふとそんなことを思った日でした。作り手、販売。そしてそれらを買う方がいて、日本の伝統も守られます。
着物の知識を教えて下さりながらの呉服販売をする銀座もとじさんですが、数少ないお店ですね。

『家は知識によって建てられ、英知によって堅くされる』聖書箴言24章3節


商いも日本の将来も目先のことでなく 長い目で将来と世界を見て欲しいなとも思いました。政府の仕分けで、スパコン ロケット、将来の技術育成考慮をして欲しいなとも・・急ぎ過ぎて無駄な税金使いはは困るけれど・・